残雪と山菜と酒と温泉、
六日町満足泥酔紀行。……万盛庵編

(04年3月18日版)

2日目、3月12日は、六日町のまちなか、田中町にある万盛庵本店で六日町中学の同期生たちと飲んで、近くのホテル宮又へ泊まるのである。つまり、前夜の雲天にはなかった温泉をくわえ、雪見と山菜と酒と温泉を達成、さらに旧友たちとの歓談というごちそうだ。

万盛庵については、すでに当サイトで何度か紹介している。しかし、六日町では草分けのそば屋の暖簾だが、メニューはどんどん食堂化しているし、近頃何度か寄るようになって、ますますその感じが強い。そばより、ほかの料理の方が、豊富でうまいのではないかと思う。なにしろオヤジは山菜キノコ採りの名人で有名のようであるし、息子は釣りのエッセイを書いたり釣り人で有名なのだ。もう「そば屋」というより「食堂」である。おれとしては、うれしいね。

そういえば、万盛庵は、むかしから地元民のための店なのだから、地元民によろこばれるのがカンジンで、観光客相手の「観光そば屋」である必要はないのだろう。

六日町のへんには、なんだかやたら気どった高額の「観光そば屋」ができた。高いカネだしても「観光そば屋」のそばがよいひともいるだろうが、手打ちだからといって必ずしもうまいわけではない。それに、おれがガキのころから記憶にあるこのへんのそばは、江戸風ののどごしで食べるような腰のあるツルツルではなくて、モゴモゴとそばがきをかじり食べるような感触の、かなり原初的なそば切りの系統だろうと思われるものなのだ。

ま、そば談義は、どうでもええ。今回は、いろいろな万盛庵料理を楽しんできた。なかでも、やはり春の山野草である。といっても、まだほとんど野山は雪の下だったが。

まずあらわれました、アサツキ。いやあ、うまいねえ。このタレ、味噌と酒と何かをまぜてつくったようであるが、これをダッポリつけて食べる。この雪のある時期のアサツキはやわらかい。かじると、まず苦味が口の中をはしり、そして、ふいに甘味がふわっと舌にひろがる。うまいこと、うまいこと。



上の写真のフキノトウは、オヤジが、「まだこのへんのものじゃない」と見せてくれたものである。そして、オヤジは、これを見せたあと、冷凍庫から「まだ去年のフキノトウが残っている」といって持ち出してきた。どうやら、それも料理するらしい。おれは、感心した。おれは、こういう店が好きだし、信用できると思っている。

こういうことがふつうに話せる店と客の関係が大事だと思うね。当サイトに紹介の「七平とうふ」の新井豆腐店もそうだが、正直である。ちゃんと「アメリカ産」の大豆でつくっている豆腐だと説明するし、最近では包装にも「アメリカ産大豆」を表示している。そして、この豆腐は、ちゃんとうまい。「あるものをおいしく」ということで、それで、いいのではないか。

山野草やキノコなどの場合、養殖栽培モノや塩漬けや冷凍モノをつかっているのに、近所の山でとってきたトレタテをくわせているようにいう例は、ザラである。客も、舌で食べるより、「国産」「自然」「とれたて」という言葉のムードを食べているのだからしかたないかもしれないが。ものづくりの人間や、土をいじり自然と生きている人間のいうことは、すべて正直で正しいというのは笑止だ。

とにかく、そして、フキノトウの酢味噌あえが出てきた。むふふふふふ、いいかおり、そして苦みばしった味が、たまらんねえ。よそのものだって、去年のものだって、いいってことよ。それにしても、アサツキといい、これといい、味噌味の加減が絶妙だなあ。



そしてそして、これも味噌味、いやあ、こういうものをうまく食べさせてくれることこそ最高だねえ。写真上の右のうつわ。これは、このへんでは、あたりまえのオカズ。おれもガキのころは、よく食べた。ナスの辛子味噌炒め、正式の名前は知らないが。これがうまいんだなあ。同期生たちもいっていたが、思わず「めしくれ」といいたくなるうまさ。

こういう、地元のどこの家庭でもつくってきたものを、うまく食べさせるというのが、「えらいね〜」なのだ。イザとなると、なかなか難しいものだよ。ほかにも、カツやフライ類、ごくあたりまえの大衆食堂メニューを食べまくり飲んだ。ラーメンも、うまかったねえ。

リッパな観光旅もいいが、こういうところでくつろぎながら飲む旅もいい。このあいだは、一人で飲んでいたら、前の相席のオヤジと話になって、けっこう楽しかった。大衆食堂的でほんとうによいね。地元の味覚と地元の人情にふれようと思ったら、こういうところがイチバン。

今回は6時ごろから集まりだした中学の同期生は、全部で7名。肺がんで手術入院中の一人の無事を願いながら、なんとまあ11時過ぎまで、アハハハアハハハのおしゃべり。某温泉旅館の料理にめちゃくちゃケチをつけたり……あとは書かぬがハナ。おれは、ホテル宮又へ11時までにチェックインしなくてはならなかったので、残念ながら泥酔状態で中座。

そして、ホテル宮又のまんぞくまんぞくは、近日掲載。


地位向上委員会








……雲天編
……ホテル宮又編


























当サイト万盛庵

当サイト七平とうふ


当サイト故郷という六日町

万盛庵の息子のブログ


六日町駅西側の通りから見た八海山。
八海山は酒もうまいが、山は、とても絵になる姿をしている。そして、よい撮影ポイントやスケッチポイントがたくさんある。六日町へ行って、八海山を飲んで、八海山を撮影したりスケッチしたりなんてのもいいね。もちろん登るのもいいよ。と、ちょいと宣伝。


ついでにもう一枚。中学同期生の遠山力さんが、自分の畑の周辺から撮った八海山。11月ごろ?

ライブカメラで四季の八海山が見られます