小鹿野町の「昭和」といふ食堂
(04年4月11日版)

埼玉県秩父郡小鹿野町の商店街に「昭和」という大衆食堂がある。だいぶ前に一度入ったことがある。たぶん1994年か5年だと思う。ナゼナラバ、この食堂は、拙著『大衆食堂の研究』に載っているからだ。

昭和食堂という名はあちこちにある。埼玉県小鹿野町の昭和食堂はおじいさんと中年の息子でやっている。ついでがあったら是非よってみてほしい。東京だったらいかがわし度3をあたえられるたたずまい。田舎町らしい独特の塩辛いラーメンがくえる、まさしく昔の食堂ラーメンの味なのだ。ラーメンごときで気取っているいまどきのラーメン屋のラーメンなんて、労働者がくうラーメンじゃない。

なーんて、書いている。しかし、このころはシロウト臭い元気なグチャグチャな文章を書いていたが、最近はどうもトシのせいか、プロっぽく落ち着いたというか型にはまった書き方になっているなあ、いかんなあ。ああ、もっとメチャクチャやりたい! って、いいトシして何いってるんだか。

それはともかく、このときの「昭和」のたたずまいは、どうであったかというと、こんなぐあいだった。下の写真。



この写真は、5年ぐらい前の撮影だと思うが、最初に入ったときと同じである。前の家の2階から撮った。前の家は、町一番の旧家といってもいいような大きな屋敷だ。あの「秩父困民党農民一揆」のときに、取り囲まれ打ちこわしになりそうになったところを、たすかったもので、当時のままの渋い豪勢な建物。たまたま小鹿野町の祭りだったかで、内部の見学自由だった。

それから何度か、小鹿野町へ行っているが、目的地へのバスの乗り換えなので、時間の都合があわなかったり、ほかの店に入ってみたかったりで、「昭和」に入ったことはない。

「昭和」があるのは、町の唯一の商店街だ。行くたびに廃れていくし、大丈夫だろうかと思っていたのだが、昨年あたり改装して、写真下のようなアンバイになったのである。なかなか元気のようだ。

小鹿野町は、両神山や二子山への経由地であり、また秩父巡礼が立ち寄るところである。町衆歌舞伎や神楽などの伝統があって祭りイロイロにぎやか、温泉もある、ちかごろは観光地として売り出し中らしい。廃れゆくように見えた商店街だが、元気に改装している店も目立つ。なんとかやって生きなくてはならんからな。「昭和」も、そういう意気込みだろうか。

うーむ、しかし「昭和」、なんだか、やる気だしているねえ。それに、この暖簾、なかなかいい雰囲気じゃないか。カツ丼に力が入っているねえ。小鹿野町というと「わらじカツ丼」が有名なのだが、このへんのカツ丼は、山梨と同じ、ソースカツ丼が普通のカツ丼だ。うーむ、食べてみたいなあ、と、思いながらバスの時間もあって、とりあえず写真をパチリでした。04年4月5日撮影。



「昭和」のつく食堂は、けっこうアチコチにあったように思うけど、気がついてみると、最近あまり見かけない。

大衆食的ヨッ大衆食堂
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