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鶯谷・信濃路のち池袋・永利、満腹泥酔記憶喪失帰宅。
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鶯谷、上野、新宿。昼酒夜酒。
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ひさしぶりの吸う&鶯谷信濃路
2006/12/05
コンマ以下の存在を生き抜く「めし」

居酒屋食堂
鶯谷 信濃路


東京都台東区JR山の手線鶯谷駅日暮里寄り改札前で24時間営業

(09年10月6日追加)



09年4月ミーツ・リージョナル別冊『東京ひとりめし』に掲載の「遠藤哲夫の[信濃路]偏愛話」が好評。下北沢のスローコメディファクトリーにおけるエンテツの「泥酔論」で、村上航さん(猫のホテル)がこれを朗読、好評。村上さんの朗読はYouTubeで視聴できる…クリック地獄



(04年5月11日掲載)


オトコとオンナの…都会の孤独をなぐさめるところ?風に書いてみた。

ここは以前、当サイトをご覧になった、アノ南千住の[大利根]の常連だったかたからメールで教えてもらったところだ。大利根なきあと、ここへ流れた客も少なくないとか。

行ってみて、たしかに労働者のニオイがただよう場末の雰囲気に、大衆食堂らしい豊富なメニュー、好きなようにやってちょうだいという大らかな空間が、スッカリ気に入ってしまった。とくに上野の[グラミ]なきあとは、人と会うとなると、ここが便利であるから、ついつい行ってしまう。

しかし、ここは台東区JR山手線鶯谷駅の日暮里寄り改札口の、まん前である。つまり、右を向いても左を向いてもラブホがそびえる、都内有数のラブホ街のド真ん中なのだ。ま、それは、それで、イロイロ楽しいものもあるのだが。女性と一緒のときは、誤解されないようにしなくてはならない。

といいながら、今回は「オトコとオンナ」仕立てでお送りする。実際に、カップルの客は少なくなく、それが、なぜか、似合うのだなあ。秋葉原あたりの中小企業の社員らしきオトコが、おなじ会社のオンナをつれてきて、真剣にけなげに口説いていたりするのだよ。



ヨッ晴れた土曜日の昼下がり、オンナから電話。
「元気ないの、だから電話したの、いまからどこかで会える?」
オッなんかわけありそうな。離婚か?
「いいよ、京浜東北線が便利だから、鶯谷にしよう、そっちからも近いだろ」
ゲッすぐ「信濃路」がアタマに浮かんだんだよな。あそこなら休みなしだから土曜日でも心配ないし、昼間から気楽に飲める。ながっちり平気。個室ないけど大衆のなかで個室状態になれる。
「鶯谷の上野と反対側の改札口だよ」
受話器を置いて、出かけるしたくをしながら、やっぱりあそこじゃマズイかなと思ったが、でも下心があるわけじゃないからと思いなおす。

鶯谷の改札口を出た。「信濃路」は目の前。だけど、先に着いているはずのオンナはいない。公衆電話を見つけ、10円玉数個がちゃがちゃ、オンナの携帯に電話する。やはり反対の上野寄りの改札口にいた。鶯谷は初めて、こっちの口に来る道は知らないという。デハ迎えにと、線路沿いを歩きラブホ街の谷間に入る。大学生らしきカップルが、どこかに入りたそうで恥ずかしそうに手をつないで。このへんでよく見かける中小企業不倫カップルらしいのが2組堂々と。土曜日の昼下がりの情事というわけか、いいねえ。

まだ明るいのに、街娼が数メートルおきに立っている。おれは貧乏くさいかっこう、チラッと見るだけで、声もかけてくれない。フン、こっちはな、いまから20も年下の美女と飲むのだゾ。

オンナがおれの姿を見つけて、手をふりながら、駆け寄ってくる。なるほど、ちょっと、やせこけて顔色が悪い。いつも顔も目も輝いていただけに、力を失った肌と瞳が気になる。病気かいな。

もとの道をもどる。ラブホ街、わずかのあいだに、さらに街娼が増えている。夕方4時ちょっとすぎ、もしかして出勤時間? しかし、明るいお日様のしたで見ると抱く気がしないぜ。やはり街娼というのはサ、夜の暗がりから声をかけるってのが情緒というものじゃないの。

オンナ、めずらしそうに、まわりを眺めまわし歩く。別に下心があって、ここにしたわけじゃないよ、「信濃路」がいいからなのさ。ほらラブホ街をぬけると、飲み屋が並んでいるだろ。「加賀屋も、飲むだけならいいけど、ゆっくり話ができないからね」いいわけのようにおれはいう「養老の滝もあるけど、とにかく信濃路がいいのさ」その理由は、うまく説明できない。混んでいても、ゆっくりできて、まわりを気にしないで、こみいった話もできる。親しみと不干渉が入り混じり、自由に選択できる、というか……。大衆食堂に息づくオトナの空間さ。

間口一間半ぐらい、奥に細長い、カウンター席だけの、うなぎ寝床。入り口に、マジックで「健康のため一日一回はうどんを食べましょう」とか書いた紙が。なかせるねえ。大衆はな、むかしから、うどんもめしも、くうんだぜ。看板にだって、定食、うどん、そば、だ。この店は、もと立食いうどんそばやだね。JR山手線田町駅の海側にもあったが、まだあるのかな。

7割ぐらいの入り。厨房側のカウンターにアキがあったので座る。目の前に、オカズを入れたケースがズラリ並んでいる。頭上の下がり壁にはメニューがズラリ。「とりあえず、びんビールちょうだい」腰かけながら、おかずのケースごしに、なかのオンナの目を見る。中国人だ、日本人は1人もいない。料理する男も中国人。少なくとも、おれは日本人従業員を見たことがない。

顔を見て注文し、目で確認しあう。以前、おでんのスジとツクネの区別がつかないオンナがいて、教えてあげたら、妙に親しげにされた。ま、カウンターの上を片付けながら、親しげに話しかけてきたというていどだが。夫と子供を中国においての出稼ぎといっていたが、奈良岡朋子的美人(知らんか)で、ちょっとよかったね。

となりの席、中年中小企業夫婦らしきが、今日のオススメ黒板を見ながらツマミを選んでいる。おれとオンナも「なんにしょうかあ」「菜の花のからしあえとホタルイカはどうかね」「そうね」と話していると、おとなりさんが「菜の花のからしあえとホタルイカ」と先に頼む。「おや、おなじですね」「ははははは」おれととなりの男は声をかわし、男の妻とおぼしきも笑い、すぐ知らん顔。この呼吸だね。ワレワレも二人だけの世界に入る。まわりでは入ったり出たりがあるが関係ない。

オンナは完全にゆきずまった「雅子様」状態ってことだろうか。「わたしプッツンしちゃった、完全におかしいの、手を動かすのもめんどうなの、でも洗濯はしなくちゃなんないし、仕事もあるし、そのこと誰にもいえないの」ウツ病、不眠症、抗ウツ剤のやっかいに。湿疹も出て。おおっ、アイデンティティ崩壊の危機。うーむ、無理しているねえ。よい母(幼子が二人)よい妻、よい嫁(夫の両親と同居)、そしてなによりよい仕事人であろうと怒涛の歳月。ひとに後ろ指さされることしたくない。ひとに迷惑かけられない。ああ、おれなんか後ろ指さされっぱなしだよ。迷惑かけっぱなし。

「熱燗にしていいかなあ」オンナがいう。そうだ、このオンナは日本酒党なのだ。「もちろん」熱燗大、一本二本三本四本…夜はふけ。何人の客が出入りしたか。客層はじつに雑多で、カップルもいるが、ラブホの客とはかぎらないね、おれたちみたいに。しかし、以前だが、秋葉原の中小企業の従業員と思われるオトコがオンナをつれてきて懸命にくどいていたよ。健気だったなあ。こういうところでくどくのって、美しいねえ。

ちょうど夕飯どきで、めしくう客も少なくなかった。カウンターごしに出てくるめしが目に入る、量が多い。おれも前にカツカレーを食べたことがあるが、苦しいィイィ〜だった。でも今夜は熱燗です、オンナの悩みをツマミにさ。

オンナ、帰りがけに「見栄もあって無理してきたからね」。ああ、見栄はツマラン。ここみたいにさ、見栄はいらないね、といっても仕事となると大変だけど。チョットまて、写真撮るから。

うーん、なんか少し元気になったけど、毎日コロコロ変わるから、自分で自分がわからない、怖い。たまには亭主の胸で泣いて訴えたらどうだ。

そうねえ。



マーボ麺350、ワンタン麺、お雑煮300、ししゃも(2匹)160、うるめ230、あじみりん230、冷しトマト250、トマトサラダ290、マカロニサラダ250、ポテトサラダ250、ナゲットえびたこいか盛合せ300、さば焼き300、さば味噌煮250、塩さけ250、赤魚300、さんま300、あじ開き300、いか塩辛200、いか丸焼290、いか煮付け290、マグロブツ400、イカ刺400、タコ刺400、〆サバ400、帆立フライ400、帆立バタ焼き400、野菜うま煮250、なす味噌250、大根煮250、しらたき煮250、ニラおひたし250、ニラ玉子380、ニラレバー400、レバーキムチ400、豚しゃぶ250、豚キムチ400、豚生姜焼400、豚焼肉400、とり皮唐揚200、とり唐揚250、手羽先唐揚250、とり軟骨揚250、おにぎりさけうめたらこおかか120、御茶漬さけうめのり各300、冷し中華500、冷したぬきそばうどん320、冷しきつねそばうどん350、冷しわかめそばうどん360、冷しそうめん350、メンチカツ160、ビール(大)530、生ビール(中)480、日本酒270、コカコーラ200、そば焼酎(雲海)お湯割り水割り300、ホッピーもあるでよ……写真に写っていたメニューだけ。

この何倍もある。定食も500円前後を中心に種類も豊富。カレーライスやカツカレーにまで、ちゃーんとみそ汁がついている。



厨房側と壁側にカウンター、奥に長い、まさにうなぎの寝床スタイル。50人規模ぐらいか。

しかし、ここで中国人がつくった味噌汁をすすり定食をたべるとき、なんだか、日本人は確実にテイコクシュギ人になっていると思うのだ。
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