鶯谷/信濃路の〔スタミナ奴〕
そしてスタミナ料理はオモシロイ



(05年7月3日追記)

この信濃路の〔スタミナ奴〕は、最近メニューから消えた。でも、自分で簡単に作れるからやってみよう。

(04年9月1日版)


8月30日、台東区鶯谷の「信濃路」で〔スタミナ奴〕というものを食べた。スーさんと一緒に食べた。一緒に食べたといっても、一人前を一緒に食べたのではなく、それぞれ一人前とって、食べたのだ。

〔スタミナ奴〕は、豆腐ととろろ芋と生卵とキムチとネギとショウガと削り節などが一緒の器に入っている。そこにショウユをかけガシャガシャとかきまぜて、ズルズルズルとすするように食べるぞ。もちろん、めしにかけてもよい。

いや、そもそもは、拙著『汁かけめし快食學』に書いてある、当サイトの〔ゲロめし〕だが、それを読んだスーさんが、似たようなものが〔信濃路〕にあるとメールで教えてくれたのだった。なるほど、ゲロめしは、豆腐かとろろ芋のどちらかを使うこと、それに納豆も入れること、などビミョーなちがいはあるが、似ているな。

ヒトは似たようなことを考えるものである。ヒトは似たような環境では似たようなことを考える、というようなことを文明論的に述べた有名な学者がいたように思うが、ちがうかな? でも、ま、そんなものなのだなあ。文明だの文化だのは、伝播だけじゃなくて、そういう発生があるのは、たしかのようだ。って、〔スタミナ奴〕から、そこまで考えてしまっていいのか。うまけりゃいいのだ。

で、スーさんとおれは、この日初対面だったのだが、夕方の約5時ごろから飲み始めて、ハテ、何時まで飲んでいたか。とにかく記憶がないのである。で、な、なんと、ワレワレは、口を寄せ合って、じつに「危険なツーショット」が、れれれれれ、なのだ。これは、もしや、これこそ〔スタミナ奴〕の効果なのか? 



写真は、いずれも、スーさんの携帯に納まっていた。携帯電話、便利だが、危険でもある。あっちがう、〔スタミナ奴〕うまいが危険でもある。(キケンなのは、おまえらだ)

問題は、そういうことではない。オトコとオトコが口を寄せ合ってもよいのである。問題は、ナゼ、これが〔スタミナ奴〕という名前なのか? なのだ。〔ゲロ奴〕でも、いいハズではないか。

おもえば名前に「スタミナ」のつく料理は、けっこうありそうだ。スタミナ丼、スタ丼、なんてのもあるぞ。だいたい「スタミナ料理」という言葉も、よく使われているではないか。とくに、この残暑の夏バテが出る時期に。

「スタミナ料理」をWEB検索すると、たくさんある。
すた丼(スタミナ丼)  スタミナラーメン  焼肉スタミナ苑 あるある夏バテ解消のスタミナ料理  スタミナグルメ大集合なんてのも  「夏を乗り切るスタミナメニューは?」だって スタミナ缶(ガーリックツナ)なんてのも  スタミナそば ……
ああ、もうきりがない。そんなにスタミナが欲しいのか、自信がないのか、ああ、おれも、スタミナ大好きだ。

「スタミナ」、もしかしたら、日本人は「スタミナ」が異常に好きなのではないか。なぜなのだ?「スタミナ」を天下の広辞苑第5版でひくと、「stamina」であり「精力。持久力。」とある。

なぜ、日本人は、そのような「スタミナ」が好きなのだ。スケベーだからか? みんなマッチョになりたいのか? 夏の暑さにヨワイからか? そもそも虚弱だからか? うーむ、なにか「スタミナ」に対する劣等感や願望のようなものは歴史的文化的に、ありそうだ。これは、日本人的特徴なのか? しかし、とにかく、日本の大衆そして大衆食には、「スタミナ料理」といふものが、不可欠のようである。

おれは、そのことが気になるのだ。みなさん、どう思いますか、この件についてなにかあったら、メールくださいな。

ところで、〔スタミナ奴〕は効くか? 効きます。ゲロめしのように。


ザ大衆食トップ 大衆食的 食べ物など索引