ゲロッ、週刊朝日、表紙は紀子さま。
猫めし特集に、おれとゲロめしが、卵かけごはんや猫ひろし&小泉武夫と揃い踏み。



(06年3月4日記)

すでにブログの2月15日16日に書いたが、週刊朝日2006年2月24日号のセンターカラーグラビア特集「猫飯究極奥義」に、おれとゲロめしが登場した。

この取材は、昨年末にあって、新年1月15日ごろ発売の本誌に掲載の予定だったが、豪雪やホリエモン逮捕など、大騒ぎが重なりのびた。そして、続いて紀子さま妊娠だから、またもやのびて流れるだろう、もう掲載はないだろうと思ってスッカリ忘れていたら、ナント、その皇室記事の号に掲載されたのだ。

で、なんとまあ、表紙は通常とちがい紀子さまだ。そのセンターを開くと、特集の扉に猫ひろしさんが、このように「猫飯究極奥義」「ぶっかけめしエクスタシー」の見出しに囲まれて……というアリサマ。

ややややや、このギャップの過激さ。これ、ほんとにアノお行儀のよい朝日新聞を発行している会社の週刊誌なのか? でもホントなのだ。これは紀子さまにも見てもらいたいと思ったが、どうせ宮内庁の役人は見せないにきまっている。かつて汁かけめしは、天皇から庶民まで食べた「伝統食」なのに。

とにかく、ここに紀子さまと共に、ついに、あの「ゲロめし」が商業メディアに登場したのである。なお、本誌の記事の「猫飯」は、汁かけめし、ぶっかけめしの全てを意味する。

扉をあけると、おれサマがゲロめしと登場だ。本文では「ゲロ飯」と表記されている。拙著『汁かけめし快食學』の紹介もあり、そこからふんだんに参照や引用し、記事が書かれている。いやあ、朝日というとインテリおすましさん、というかんじで、ぶっかけめしとは対極の文化のイメージだったが、なかなかどうして、やはりみなぶっかけが好きなのね。そうだよな、これを食べれば、うまいし、ガツンと元気が出るもんな。

写真。おれが手にするのは、ゲロめしだ、その下は、ゲロめしの材料、豆腐、生たまご、納豆、オオバなど。記者は、ゲロめしについて、こう書いている。「遠藤さん推奨の猫飯も、身もふたもなく「ゲロ飯」と名づけられている。しかしその露悪的なネーミングに反して、このうえもなく豊潤にして繊細に舌をねぶる味覚を秘めていて、猫飯のK点はるかに越えた逸品であることを、われわれも確認済みである」

ことわっておくが、この「ゲロめし」なる露悪的な名前は、おれの命名ではない。おれは、そんなに口ほどは下品な人間じゃない、うふふふ、本質は朝日新聞のように偽善的な人間なのだ。こちら、クリック地獄に、その作り方とあわせ、命名のイキサツがある。ごらんいただきたい。

エヴェレストで遭難死した登山家の長谷川恒男さんの命名で、「ネコゲロ」なる猫めしがあるそうで、「インスタントカップスープにアルファー米や乾燥ごはんをぶち込んでふやかしたり、煮込んだりした登山家の伝統食」と記事にある。おれは元山岳部で、そういうめしをよく食べたが、そのような名前を思いつかなかった。やはり上品な育ちだったからだろうか?ってこたあねえよな。

この記事を読んだ、出版社が倒産した拙著『ぶっかけめしの悦楽』の編集者だった堀内恭さんから手紙があって、エヴェレスト登頂の田部井淳子さんは、登頂前に猫まんまを食べたそうで、そのことを書いた『山を楽しむ』という本のコピーを送ってくれた。「エヴェレストに登頂した時、明日はいよいよアタックだという時に食べたのは、ご飯に乾燥野菜の入ったみそ汁をかけたもので、猫まんまそのものの流動食だった。肉の脂身のような高カロリー食品がよいという意見もあったが、判断は正しかったようで、ご飯は腹持ちがよく、登頂まで集中力と落ち着きを持続できた」と書いてある。人生の山も、汁かけめし食べて、やっつけよう。

ついでに、週刊朝日の記事には、一か所アヤマチがある。おれが「農家の次男坊」と書いてあるが、オヤジが農家の次男坊なのだ。ま、でも、分家して、おれが小学校に入るまでぐらいは小さな耕作地で自分たちの食べる分ぐらいは作っていた。それにおれは次男坊だから(男3人兄弟の真ん中で、上も下もガキのうちに死んでしまったが)、ま、そんなに大きな間違いではない。

最後の見開き。写真、ニンマリ気色の悪いジイサン。サバ水煮の缶詰をめしにぶっかけて食べる、東京農大の小泉武夫教授。ジイサンって、おれと同じトシだから、ジイサンなんていっちゃいけないよ。小泉さんは、最近『ぶっかけ飯の快感』という、おれの『ぶっかけめしの悦楽』とまぎらわしいタイトルの本を出した。ま、強力なぶっかけめしタッグってわけだが、残念ながら、おれの本のほうがぶっかけめしについては詳しいのに、小泉さんのほうがはるかに有名で本も売れている。まったくみんな権威主義で有名人にヨワイからな。くそったれ! ゲロめしでもくって、『汁かけめし快食學』を買って読んで広めろよ〜。

で、このページ左は、卵かけごはんブーム、例の卵かけごはん専用醤油「おたまはん」の記事。だが、おたまはんは売れすぎて生産が追いつかないので名前を出してもらっては困ると懇願されたそうで、「匿名」になっている。これじゃあ、ますます欲しがるひとがでるだろう。しかし、卵かけごはんを食べながら、猫まんまや汁かけめしに思いをはせるひとは、まだ少ないのではないかな。そこでまた言いたい、『汁かけめし快食學』を買って読んで広めろよ〜。

ま、そういうことです。快食、快食、汁かけめし。


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