ザ大衆食トップブログ版日記

2009年7月1日発行
ミーツ・リージョナル別冊『酒場の本』
「エンテツのめし屋酒のススメ。」



編集=溝口久美さん、写真=本野克佳さん

編集の溝口久美さんは、この翌年2010年11月、不慮の事故で急逝された。享年41。溝口さんと初めてお会いしたのは、2008年夏、初めてのミーツの仕事のため大阪へ行ったときだった。鶴橋のへんの焼肉屋で、初対面のミーツ編集部のみなさんとの飲みがあったのだが、溝口さんは仕事で遅れてやってきて、最後まで一緒に遅くまで飲んだ。

酒のための事故で亡くなられたといってもよい、酒好きの溝口さんが、関西の酒場本の決定版を作りたいと取り組んだのが本誌。5月14日の朝から翌15日の夜まで丸2日間のおつきあいだった。そのときの思い出は、1年のちブログに書いたクリック地獄

溝口さんは、表紙に「いまや『酒を飲む場』を求める時代ではないのだろうか」と書き、
大扉のリードでは、「酒場を流行軸でとらえることの/無意味さに気づいたいま、/われわれが酒場に求めるのは、/そこで過ごす/『何ものにも代えがたきひととき』/なのではないだろうか。/さあ、そんな酒場へと、還ろう。」と呼びかけている。

おれが文を担当した「めし屋酒のすすめ」の企画は、大阪、京都、神戸の三地域の、地元の方々に愛されている食堂で飲むということだった。同じ関西でも、大阪と京都と神戸とでは土地柄人柄がちがう。そこをどう書きわけるかというのは、なかなか難しい。というわけで、「めし屋で飲むというのは、どういうことか」という感じで書き、そこに、大阪、京都、神戸のちがい、というより、それぞれの店がある「まち」つまり「場」の雰囲気や特徴を盛り込んだ。

このときは、気が付かなかったが、これは、一つの「町飲み」あるいは「街飲み」というものでもあるだろう。(2015年11月19日記)



通って上手になるほどまちに愛着もわく
仕事あがりの一杯とめし。


▼取材撮影場所
大坂市中央区難波千日前 [お食事処しみず](5月14日)
同・心斎橋筋 [心斎橋 明治軒](5月15日)



(上左)
まちをこえる基準ではなく
街場の年輪を自分なりに楽しむ。


▼取材撮影場所
神戸市中央区元町 [金時食堂](5月14日)
同・相生町 [お食事処たからや](5月14日)

(上右)
住むひと働くひとが寄って
白いキャンバスに生活の絵を描く
めし屋酒の味わい。


▼取材撮影場所
京都市下京区四条寺町 [山の家](5月15日)…クリック地獄

▼関連ブログ版
2009/05/16「大阪、神戸、京都、三都めし酒物語。」クリック地獄


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