六日町 大阪屋 高千代酒造
満足泥酔紀行 第4回
泥酔状態における高千代酒造五月まつり(2)

(03年5月27日記)

まつりは1時から、インド舞踊の鑑賞(なぜインド舞踊かは最後にわかる)、そして記念撮影をすませて、宴会となる。乾杯の音頭は2時ごろだったと思う。そりゃっ、力強く飲め!といわれなくても飲みます、食べます。テーブルの上には、純米吟醸の「巻機」に特別本醸造の「雪ありて」がならんでいる。ま、おれは普通酒の高千代辛口で十分な人間であるから、もう豪勢な気分。

社長はあいさつでユーモアをまじえ、「とにかくうまい酒をつくればお客様はついてくるということでやってきました、それにこういうところでは最初は上等な酒をだし、酔ってきたらだんだん下げて水でも混ぜておけばよい、なんていう話もあるが、うちはそういうことはしません。だんだんよい酒が出てきます」といったから、もう期待しちゃうね、当然あとは大吟醸しかない。そのように始まったのであるよ。

今年は会場の写真を撮らなかったので、去年の写真。会場といっても社長宅のふすまをとりはらって、玄関の上がり口の板の間までテーブルを置いてのぎゅうぎゅうづめだが、その気どらない雰囲気がいいんだなあ。しかし地方の旧家らしい、どっしりとした造り。
料理を担当したのは、このかた。若葉の香りがただよう庭にゴザをひいて、蕎麦を打っているところなので顔が見えませんね。北魚沼郡堀之内町の「味之家 魚野川」のご主人で、「山菜・きのこ料理研究家」という肩書の、ま、ただのオヤジですが実際はただのオヤジじゃない覚張徹(がくはり とおる)さん。

90人分をこす蕎麦を打ち終わるまでは好きな酒が飲めないと、必死に蕎麦を打っていた。うーむ、この蕎麦は、もう素晴らしくうまかった。なにしろ、かなり酔っ払っていたのだけど、この蕎麦で一瞬正気にもどったほど。ちょうど、高千代酒造の誉れ、大吟醸の「秘酒 高千代」も登場、よかったねえ、盛り上がったねえ。

覚張徹さんは、器用なひとですね。料理は、とうぜん山菜たっぷりなのだが、ほかにもカマンベールなど「洋モノ」を含んだオードブル各種が揃って、自作のソーセージ、イノシシ汁や焼魚など、じつに独創と野趣に富んでいて、都会では不可能な味覚の構成になっていました。店では石釜薪焼きピザ、つまりは「ナポリピッツァ」でしょうかね、それもつくるってのだから、一度いってみたい。

料理人は、「素材を選ぶ」というなら、東京あたりでメディアの力を頼って料理人ショーバイをするだけじゃなく、素材の近くの田舎でこうして料理の才能を発揮してほしいよ。そういうの、フランスあたりの料理人には、星マークも含めてけっこういるのにね。


関連リンク 覚張さんの「味之家 魚野川」 
ま、だけど、覚張さんにはスマンが、おれが蕎麦のほかにイチバン気に入ったのは、コレ、竹の子を焼いたやつ。ほかの料理がマズかったということではなくて、コレ去年はなぜか、飲むのに夢中すぎたのか、あまり食べられなかったもので、ヨーシ今年は、という意気込みもあったしね。

この竹の子は、いまおれが住んでる周辺では、まったく手に入らない。ときどき塩水パックのようなもので「細竹の子」とかあるけど、東京じゃ「姫竹の子」といったりするね。だけど、おれは上京するまで、この細い竹の子以外知らなかった。よく採りにいったし、よく食べた、なにしろシーズンになると味噌汁の具から煮物から漬物、こればっかだものね。だけど、これを皮ごと焼いたのは、去年この高千代まつりで初めてだったのだ。イッタイこれは、どういうことだ、おれのウチだけがやらなかっただけなのか?その謎の解明は、これからだが、とにかくこれがうまいのさ。


写真の右手前はカジカの天ぷら。これも、昨年ここで初めて食べた。ガキのころは魚野川で、よくヤスで突いてとったものだが、それを母は煮物にしてくれたものだが、天ぷらは初めて。それにコレ、こんなに大勢さん分たくさん、カジカも養殖でもしているのかな、と思ったが、その謎の解明もこれから。なにしろ食べて飲むのに真剣で、ちょっと聞けばすむようなこともしないで、ひたすら飲み食うのであった。



去年の写真だけど、囲炉裏で竹の子を焼いているところ。右の写真、焼きあがってから、皮をむいて食べる。

今日はここまで、続くよ、大吟醸泥酔はこれから
高値にして高嶺の華、大吟醸「秘酒 高千代」を、湯水のごとく呑む
それにしても山菜山菜でウンコまで変質してしまった


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