とろり光沢 朝の定番 食欲そそる郷愁の味 卵かけご飯


「卵かけご飯」で、ふだんの食事がしあわせ。って、いいことじゃないだろうか。


(05年4月11日版)

人間は食べるためのみに生きるのではない、テナ高尚な主張もあるようだけど、毎日のふつうの食事がうまく食べられると、「これだよね、シアワセというものは、これがイチバンだよ」と思ってしまい、やはり人生の目的は、ふだんの食事を、うまく食べることにあるのじゃないだろうかと思ってしまうのだ。

ありふれたものを食べる、ふだんの食事。それで「ああ、うまかった!」と食事のあとにいえるヨロコビは、なにものにもかえがたい。と、さらに重ねて強調したのち、このおれは普通は「卵かけめし」と呼ぶ、ありふれた食材であるタマゴによる「卵かけご飯」の話である。

3月の始め、故郷の新聞「新潟日報」の学芸部の記者・高津直子さんから、「自分が卵かけご飯が好きなもので、記事にまとめたいと思って取材しています、話を聞かせてください」という趣旨の申し入れがあって、電話でアレコレ話をした。

アレコレ聞かれると、アレコレ卵かけご飯の思い出やら、アレコレ食べ方やら、アレコレ噴出するように脳内にあふれ口からあふれ出て、夢中でしゃべってしまった。それが、3月14日の夕刊の記事になり、掲載紙が送られてきた。おおっ、けっこうデカイ記事じゃないか、記者の気合が入っているねえ。

「とろり光沢 朝の定番 食欲そそる郷愁の味 卵かけご飯」の大見出し。

右側の見出し「野菜や納豆トッピング 創意工夫も楽しく」の記事は、「卵かけご飯の食べ方は千差万別。「大衆食の会」代表でフリーライター、遠藤哲夫さんは」と、イキナリおれの話から始まっている。「「これまで食べてきた積み重ねが長く、自伝的食べ物」と位置づけるほど思い入れが深い」、そうじゃそうじゃ、小学校あがる前から食べ続けているのだからなあ。

「旧南魚六日町生まれ、高校卒業まで、ほぼ毎朝、近所の鶏の卵を炊きたてのご飯にかけた」とな。まあ約そうだが、ガキのころは隣の農家から卵を買って食べていた話がこうなってしまったのだな、高校生のころは店で買う卵だったから「近所の鶏の卵」だったかどうかはわからん。ま、いいじゃないの、卵は卵。

続いて、「卵一個で飯を何杯食えるか試した。締めに、卵を解きほぐした容器にも飯を入れて食べた。キュウリのぬか漬けや野沢菜が合う」という昔話。そうだそうだ、一個の卵で3杯ぐらいが限界だったかなあ。最後に、卵をといた器にめしを入れ、器にうすくへばりつくように残っている卵までめしにからめて食べるのさ。あのイジマシイうまさが、たまらんね。漬物はいろいろ試してみた、意外にあわなかったのがタクアンだった記憶があるが、なぜかなあ。

まだおれの話しは続く。「最近は、ご飯と卵をよくまぜてから、しょうゆを垂らし、とろろや刻んだオクラ、納豆などを加える。「ネバネバもよく合う。冷蔵庫から出して常温になった卵がおいしい」と絶賛する」。正確には、冷蔵庫から出して常温のなかにほっておいてから食べるということで、卵の温度が常温になるわけじゃないが。オクラは記者も試してみて、これはいいと。いいのだよなオクラのトッピング。

ほかのひとの話もたくさん載っていてオモシロイ。「忙しい時には、ご飯にくぼみを作り、解きほぐした卵をかける。「しょうゆはそのあとちょっとだけ。はしでつまめる卵黄と、二段構造になった卵白が新鮮さの証し」と胸を張る」のは、岩船山北町の鶏卵農家のひと。

「「卵をよくかきまぜるか、そのままご飯に落とすか」「ご飯はくぼませるか」「トッピングをするか」「しょうゆ派、めんつゆ派」など、好みは人それぞれ」だそうで、ま、ようするに楽しみ方がいろいろあって、それぞれ好きなように「料理」することで食べたあとのシアワセ感も強いのだろうなあ。なんだか記事を読んでいると、卵かけご飯というのは、手づくり料理の食事によるシアワセの原点のような感じがしてくる

左ページには「「日本特有食文化「よく食べるが」37%」の見出し。「食欲がない朝でも、新鮮な卵かけご飯を食べれば元気に仕事ができそうな気がする」というひとも。そうだ、そうだよなあ。さらに「五ツ星お米のマイスター」が登場して、「卵のおいしさと相乗効果を生み出すのは、どんなご飯なのか」を語る。

などなど、まあ、ありふれた「卵かけご飯」だが楽しみは深い、と、あらためて感じ入った。

最後に、もう一度、強調。「卵かけご飯」のように、ありふれたモノでシアワセになれるって、いいことじゃないだろうか。身近な、ありふれた食べ物に、あたたかい愛を! ちょっとした新しい発見を! もっと楽しもうではないですか。快食、快食、快食でシアワセだなあ。

ありふれたものを美味しくたべる、これは快食のココロですね。

ご参考=ブログ版「卵かけごはんリンク特集」


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