大阪発『ミーツ・リージョナル Meets Regional』8月号、
「oh! 食堂」特集は優れものだ。


(04年7月9日掲載)


http://www.lmaga.jp/meetsnew/index.html

じつは、ふつうのめしや定食、つまり大衆食や、それらを食べさせる食堂をアツカウのは、とても難しいことだと思っている。しかし、そういうことを意識せずに探究せずに、自分はたくさん食べ歩いて知っているんだゾという態度で、ま、惰性的に続いている「グルメ評論」の方法で片付ける例が、イチバン多いのだ。

ところが、この食堂特集はちがう。じつに、うまい!というか、食堂をみる方法や視点がシッカリしている。感心感動したし、とかく自分もこういうことを忘れて、惰性的な慢性的な「グルメ評論」の方法に流されやすいことを反省したしだいだ。

ようするに、大衆食の分野というのは、ただ「詳しい」だけじゃ、ただ「ウンチク」だけじゃ、だめなのだな。それは、そこが生活の場そのものだからなのだ。

ところで本誌だが。たとえば、最初のもくじのページにありながら、特集のリード文らしき役もしているコラムで、中華食堂好きの本誌の青山裕都子さんは、このようにいう。

「中華食堂は乱暴に言うと店が完結していない。その暖簾から、その店のある街や通りを歩く人に繋がっている。もしグラン・シノワの店同士がチェンジしても違和感はないだろうが、中華食堂はその場所にあってハコと常客とが吉本新喜劇の食堂のように1つのセットになっているから入れ替われない。そういったニュアンスはおかずを取る食堂にも共通していて、つまりそれが店の味と言われるものなんだろうなぁ」

そして、この特集の記事は、その「1つのセット」を、その「そういったニュアンス」を、じつに簡潔にうまくまとめ、優れたガイドにしている。

うーむ。すばらしい! としかいいようがない。



「梅田」「なんば」と地域でくくったり、「女子1人で昼も夜も行ける」あるいは「市場食堂」あるいは「港町食堂」、「魚」「野菜」「フライ」などとおかずでくくったり、「うどん定食」「汁」「ガテン系」「大盛り」……いやあ自由自在縦横無尽にスゴイ数の、京都、大阪、神戸の食堂がとりあげられるが、「そういったニュアンス」をキチンと伝えながら、ガイドとしての必要情報をまとめている。どれもこれも行ってみたくなる。

首都圏でも、東京旭屋書店(池袋店・渋谷店・銀座店)、八重洲ブックセンター本店、リブロ池袋店、紀国屋(新宿本店・南店)、ブックファースト渋谷店、パルコブックセンター池袋店、三省堂神田店、ジュンク堂池袋店、青山ブックセンター六本木店……などで扱っている。

大衆食や定食や食堂を相手に「評論」をするミナサマ、思い上がることなく、勉強しましょうね。


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