食文化とは、および最近の食文化に関する特徴的問題 ●2006年7月、某スーパー本部研修での食文化に関する講演原稿の一部 1、食は文化……「食べ物」を扱う仕事は「食べ心」を扱う仕事 (1)人間の歴史は「食べ心=おいしく食べる=おいしく食べたい心」の歴史 たとえば、箸の置きかた…作家の山口瞳と内田百閨B たとえば、メニューに頭を痛める。 栽培、加工、運搬、売買、料理、作法……生まれながら自然に備わっているものではなく、生まれてのち習得した、あるいはつくりだしたものを、「文化」という。「流通機構」「流通チャネル」あるいは「業態」といわれるものなど、みな「文化」として考えてみたい。するとそれは、「食べ心=おいしく食べる=おいしく食べたい心」によって支えられ成長してきたことがわかる。
(2) 「食べ心」の歴史は、どう変化してきたか。 より食べやすく、よりおいしく……縄文時代のクッキーづくりから現代の料理と食事様式まで。 生活は「生命をつなぐ活動」 料理は「生命をつなぐ技術」 食事は「生命をつなぐ祭事」 (3) 庶民の「食べ心」……ありふれたものをおいしく食べる @日本の料理文化の特殊性
A庶民の食生活と「貧乏食通」の存在 すし、蕎麦、天ぷら、鰻の蒲焼……かつては「下賎の食」といわれた。
庶民の「食べ心」は、ありふれたものをおいしく食べる B庶民の「食べ心」のためにあるスーパー 名品逸品に関する知識より必要な、ありふれたものをおいしく食べるに関する知識。江原恵の名言。「タマネギを主材料にした、まったく新しい料理を、一つでも編み出すことのできる人は、美味学に必要な想像力を、かなり豊にもっているひとである」(『実践講座 台所の美味学』(朝日新聞社、1983年)の「タマネギ」の項) 2、 食文化交流事業としてのスーパーの仕事 (1)食文化の歴史は流通の広域化の歴史。 縄文の昔から広域流通はあって、異文化の交流が行なわれていた。 たとえば、関西の食文化に欠かせない北海道の昆布。 国際交流は大昔から……輸入があれば輸出もある、文化の両面からみる。 (2)食べ物は「味覚」をのせて運ぶ文化財 味と味覚のちがい ……戦争か、それとも平和な流通か、食品流通のロマンあるいは面白さ、あるいは危険。「異国の食物と斬新な風味を求める人間の探究心が人々を地球の征服へと駆り立て、同時に味覚の変化に貢献した」…『食の文化史』(ジャック・バロー著、筑摩書房) (3)「おいしく食べる」生活の変化……流通の近代化と食の情報化 「食べ心」の興味と関心は、味覚や栄養など従来の食固有の領域をこえて、生き方や生きる空間へ、あるいは食べ物を通して自然を理解する知識へと、広がっている。つまり文化財としての食べ物に、あらたな価値が求められている。安全や安心や健康などは、そういう視点からみなくてはいけない。 ……近年の料理本などに見る特徴。 ●ブログ版リンク集 (06年12月13日) チョイと必要があって、ブログの「ザ大衆食つまみぐい」から、表記のテーマに濃く関係する記事を拾ってリンクをはった。 2006/09/13 株式市場の大衆化とB級グルメ 2006/09/03 食文化ぬきの食育、栄養教諭制度に関する資料 2006/08/12 男たちの文化的後遺症 2006/08/10 書評のメルマガ 上方食談 錦市場探訪 そしてサブカル 2006/08/08 念のために「食文化」 覚え書 2006/08/06 コンビニの棚化するカテゴリーの生活の行方 2006/08/05 なぜ「食文化」がないのか 2006/04/30 なめられるより、なめてやろう 2006/04/09 ようするにコクという日本人の証明 2006/03/10 食べ歩き 市場原理と社会原理 |
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