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山本夏彦さんのお言葉

(2003年9月2日記)

天丼カツ丼ライスカレーが食べられなくては日本男児ではない。

『世は〆切』(文春文庫版)の「ポンタンアメ」(初出=諸君!93.10)。

山本夏彦さんは、自分ではハクライの万年筆を愛しながら、「私は文語にかえれといっているのではない。そんなことは出来はしない。私たちは勇んで古典を捨てたのである。別れたのである。ただ世界ひろしといえども誦すべき詩歌を持たぬ国民があろうかと、私はただ嘆くのである」「私が片カナ語を使うまいとするのは語彙が滅びるからである」ナーンテいっていた。

これを「和魂洋才」というのだろうか? 解説で関川夏央さんは「山本夏彦は明治の精神と江戸の教養」を持ったひとのように評している。

山本夏彦さんは、大正4(1915)年、東京下谷根岸の生まれ。下町育ちというわけだが、ただし「士族」の血筋だそうだ。なるほど「日本男児ではない」なんていう事大主義ないいまわしは、そのためかと思うが、小気味はよい。でも「男じゃない」ぐらいで、いいと思うね。いまじゃ、女だって、いや女だからこそ、ワッシワッシくうという感じもある。いいじゃないか。

この「ライスカレー」は「片カナ語」だと思うが、料理としては日本の黄色いカレーライスで、インド風やヨーロッパ風ではないし含まれないはずだ。「天丼カツ丼ライスカレー」は、このように「明治の精神と江戸の教養」であるといえるかも。でも、「明治の精神と江戸の教養」って、なんだ?