竹屋食堂美術館 展示室 1
(2002年5月6日改訂復活)

竹屋食堂おかずケース

ああ、じつにすばらしい。現在も、こうです。これが、竹屋食堂の誇りなのです。『大衆食堂の研究』には、こう書いてあります。「古くて粗末である。なんでも大事につかっていると、エコロジー団体あたりに表彰されてもいいと思うが、エコロジーのやつらは、くいつくして富裕をしたあまりの自己愛みたいなもんだから、こういう生活を模範にすることもしないだろう」。
器は、どれひとつ、同じものがありません。なぜでしょうか、思考してほしいものです。

竹屋食堂おかず

竹屋食堂のおかずは、漬物各種(一種でないところがよい)、おでん(この写真は冬だから)や里芋の味噌煮やキンピラなど野菜類に、サバ味噌煮やサバ焼きなどの煮魚や焼魚、が基本で、もつ煮込みやうなぎ、それにおばさん手製のコロッケが参加したりです。「特別のものはない、家族が食べるのと同じもの」というのが、誇り高きポリシーなのですね。こんにちの偉そうな能書きの時代に、得がたいことです。ま、料理のよしあしは別にしてですが。

えっ?怠け者ではないかって。いいじゃないですか、自分の責任でやっていることですから。もっとうまいものつくれ、などといったオセッカイはいりません。いやなら行かなきゃいいのです。これで常連はいるのですから。それが地域と、そこの大衆食堂の歴史でもあるわけで、竹屋食堂に限らず大衆食堂を訪ねたら、まずそこを理解することが必要でしょう。

竹屋食堂ふだ



最初の写真の左端に、この札が見えますね。
「仕入現金に付き貸売り堅くお断り申し上げます」と書いてあります。
しかし、それでも、借りるひとがいますよ。
だけど、ここのご主人の信用を得て借りられるようになれば、
「偉人」「聖人」「奇人」といえましょう。
世界人類遺産に登録しなくてはなりません。
あっ、いや、おれも、たぶん、ツケがきくと思いますが。

竹屋食堂小暖簾

最初の写真の右端に、この小さな暖簾が見えますね。わざと、おやじとおばさんの顔の一部を入れてトリミングしちゃいました。竹屋食堂の常連のほとんどは、このおやじとおばさんを慕って通ってくるといえます。

大衆食堂のインテリアには、このような土産物や貰い物が、よく使われています。とくに客から貰った場合は、なんとしても飾らなくてはと。だから空間はますます猥雑になります。ま、ようするに、どんなものにも義理と人情のアヤが潜んでいるというわけです。

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