山梨県は塩山でヨダレな 「馬食考」と、 日の出食堂の発見… (04年1月24日記) 昨年暮れのドンヅマリに、ついでがあって、山梨県の塩山の駅周辺を一時間ぐらいウロウロした。20年ぶりぐらいである。初めて行ったのは60年代後半、登山のためだ。それから何度か行ったが、最初のころは、市内をウロウロする趣味はなく、鉄道とバスの乗り継ぎのために、ビールなんぞを飲んで時間をつぶすだけだった。 山梨県のスーパーの品揃えで、東京のスーパーとは決定的に違う点があるのに気がついたのは、70年代に入って食品のマーケティングの仕事に関わるようになってからだ。仕事柄、地方都市をウロウロすることがふえ、仕事でなくても、ついでがあると地方都市をウロウロし、スーパーや食料品店をのぞくのが趣味のようになった。そして、最初に、同じ山梨県の塩山より東京に近い大月のスーパーで、そのことに気がついた。馬肉や臓物の陳列が、圧倒的に豊富なのである。 それから、それが気になって、塩山、甲府、小淵沢、韮崎など、登山のついでに市内をウロウロしては、大月以外でも同じであることを知った。ほかにも、かつてはコイも、スーパーにたくさん並んでいたので驚いた。 塩山は新宿から中央線で100キロ足らずなのだが、市内の肉屋でも、こんなアンバイである。貼り紙は、鍋や煮込み用の「馬肉」「馬もつ」「馬さしみ」「いの豚」。 ![]() いの豚は、比較的新しく塩山周辺に産地ができた関係ではないかと思われる。だが馬食の方は古い。馬肉というと、熊本、長野が有名だが、山梨もなかなかなのだ。この日は、スーパーの方は、年末年始の陳列にシフトしていたが、それでも肉売り場には、切って盛った馬刺しが、たくさん並んでいた。 この塩山地方と埼玉県の秩父地方は、鉄道はつながっていないが境は接し、富士山の眺望がよいことで有名な雁坂峠は、古くから(おそらく古代から)人の往来で賑わったところである。最近、雁坂峠はクルマの通るトンネルになったが。 で、どちら側もカツ丼は、東京でいうソースカツ丼が、カツ丼だ。秩父地方の場合、店によりバラツキがあるが。むかしは、「洋食」も、鉄道経由ではなく、街道経由の伝播だったのかもしれない。そして、もしかしたら、あるいは、カツは馬肉のカツだったこともありうるかもなあ。しかし馬食は、秩父では塩山ほどではないようだ。となると、ソースカツ丼式のカツ丼は共通性がみられ、馬食について共通性はあまりないということになる。そういう違いは、どうして生まれるのだろうか、と、ボンヤリ高度な思考をめぐらすのだった。 中央線をさらに乗って山梨県をすぎ長野県、辰野から伊那谷に入ると、馬のもつ煮込みは「おたぐり」と呼ばれる。長い腸を、たぐるように洗うところからついた名前らしい。東京にも馬もつ煮込みを出す酒場があって、おれが知っていて、ときどき利用するのでは、アメ横ガード下の「大統領」だ。ここのオヤジは、「うちの煮込みは馬だから、腹にもたれなくていいよ」といっていた。酔ってしまえば、わからない。しかし、食肉用の馬も、8割は輸入だとか。カナダ産が多いらしい。 ところで、塩山。いやあ、入りたかったなあ、この食堂。ここを見つけたときは、もう乗らなくてはならない電車の時間ギリギリで、ツバとナミダをのみました。暖簾の左側の白いチョウチンには「うどん」、右側の赤いチョウチンには「めし」。看板には、「ラーメン」「餃子」。小さいながら、なんでもありの大衆食堂、いいねえ、そそられるねえ。こういうところにも、馬肉料理はあるのだろうか? ![]() 大衆食的 |