あの夏の思い出……

逗子・森戸海岸海の家<OASIS>の定食
(03年8月27日記)

あの夏の思い出。7月20日(日)夕方から夜にかけて、アヤシゲ散歩社の一行、モクローさん、モクローのヨメさん、セドローさん、それにオレの4人は、逗子の森戸・一色海岸に遊んだ。ちかごろ話題の新しいスタイルの海の家で飲み食いしながら、夏の夜をすごそうという、場所もそうだし、オシャレなトレンディな企画である。

そのころは、冷夏になる気配もなく、順調な夏の感じで暑くショートパンツにサンダル履きが闊歩していた。一行は横須賀線逗子駅で17時に待ち合わせ、バスに乗り森戸海岸で降りた。海岸に出ると、従来型海の家が並ぶ中に一軒だけ、竹とアンペラのようなものでつくった、エスニック風というかポリネシア風というか「異国情緒」な、その名も「OASIS」があった。めざすとこは、そこだった。



入っただけで休憩料をとられる気配はなく、だらしなくノソノソ入ると一角にステージがあって、沖縄民謡やアイヌ民謡やポリネシア民謡風なもの、つまりネイティブにしてマイノリティにしてボヘミアンな雰囲気の音楽を正調やロック調おりまぜて演奏している。どうやら時間が早いからリハーサルだったらしいのだが、本番になっても投げ銭方式で特に料金を取られることはない。このOASIS全体が、そのように、ユルーイ感覚、少数民族的テイスト寄せ集め雰囲気である。



まずは、食べ物と飲み物を手に入れる。すべてセルフサービスで、ビールの種類豊富なスタンド、その他の種類豊富な飲み物のスタンド、カネを払いボトルなりグラスなりを受け取る。食べ物は、焼き鳥のコーナーのほかに、「腹ペコは、こちらまで」と書いた「KITCHEN」のコーナーがある。「タイ風焼そば 700円」「中華風焼そば 700円」などのほかに、300円〜400円のおかず風の一品料理が「ゴーヤの酢物」「鮭のチャンチャン焼」「マーボー豆腐」「鶏となすの揚げびたし」「香の物」、なかなか渋い。そして「定食できやす! 1000円」とある。



腹を空かしてきたモクローのヨメさんは、その定食を頼んだ。これが、ワンプレートの味噌汁つきなのである。もし、これがなかったら、このOASISの話がここに載ることはなかった。



一つのプレートに、めしを真ん中に盛り、一品料理の「ゴーヤの酢物」「鮭のチャンチャン焼」「マーボー豆腐」「鶏となすの揚げびたし」「香の物」をすべてのせてある。そして味噌汁がついているのだ。これには静かに感動した。一品でも頼めるし、このように少しづつでも盛り合わせてもらえる仕組みは、よその国の大衆食堂的なところでは比較的よくあって、聞いたところでは数年以上前からフランスでも、こういう「ワンプレートクッキング」が広がっているとか、しかし日本の大衆食堂では普通はない。

丼物などは、思想としては、この「ワンプレートクッキング」と一脈通じるものだと思うが、具に相当するものが「丼物」では「単品盛り」で「ワンプレートクッキング」では「複数混合盛り」という違いがあるようだ。

これは、一品料理とめしをそれぞれつまんだり、一品料理とめしを一緒に混ぜながら食べたり、最後は全部をゴチャゴチャかきまぜて食べたり、いろいろな楽しみ方ができてよいのだ。しかも味噌汁がついている! こういうふうに食わせる食堂が、もっとできないかなと思う。そしたらもっとコメも食べられるかも知れないし。

どうも「コメ定食文化」は、型にはまったものを押し付ける傾向があるように思うが、どうだろうか。もっとユルーク、客の自由にさせて欲しいね。それに食べるほうも、型どおりのプロのワザに感心しているだけというのも問題だね。どんなにうまくても、うまけりゃいいってものじゃない、実際は「絶品」や「秀逸」に命かけて生活しているわけじゃないのだし、「自由闊達」を大事にしたいと思う。

そしてアヤシゲ散歩社の一行は、夕暮れ時の森戸海岸から一色海岸へと移動し、一色海岸でも似たような海の家で、暗い闇に沈んでいく夏の日の海を眺めながらビールなんぞを飲み語り合うのでした。もちろん、その日のうちにバスと電車を乗り継いで帰って来ました。

それにしても、ちょうどよい時期に行ったね。あれからは雨続きで、海の家も予定が狂ったことでしょう。ほかにもイロイロ面白いことがあったけど、フーゾクルポになるので省略。

大衆食的