なんと、タタミイワシが

(2002年9月29日版)

インドネシア産たたみいわしコレハ、ナンデアルカ。
たたみいわし、デ、アル。

と言われて、なーんだ、タタミイワシというのは畳の色しているからタタミイワシと言うのか。

なーんていうひとは、畳の色もタタミイワシも知らないひと、ということになるが、まさか、そんなひと、いないよな、いないよな、いないよな……いや、もしかしたらいるかな。と、不安になりそうな、タタミイワシである。

堂々たる「無添加・無漂白 天日干したたみいわし」
堂々たる、インドネシア産の正しい湘南海岸土産である。

あの、かの、「近海漁業が盛ん」「しらすが名物」などといわれる湘南海岸の店で売っていたのだそうだ。

これを買って来てくださったのは、轄r井啓佐司商店つまり畳アート啓佐司の社長にして畳アドバイザーとして、日本の畳文化のため全国全世界をかけめぐる、荒井将佳さん。とにかく、タタミ、イグサと関係あるものは、絶対見逃さない、関係ないものまでダジャレで関係づけてしまうという「畳狂」でありますから、その日も、講演先の湘南海岸でこれを見逃さなかったというわけです。

荒井さんとおれは、これを感心してながめつつ、わが国の畳のイグサの運命が脳裏をよぎり、じつに複雑な気分のダジャレ会話をかわし、そして荒井さんは例によって別れぎわに、国産のイグサのアメをくださった。

「畳と女房は新しいほうがいい」というときの畳の色と香、タタミイワシの色、忘れないようにしたい。

味ですか? うーむ、これがタタミイワシとはねえ、チト無理がありすぎるような。色がちがうぐらい味はちがう。まずくはないけど。

しかし写真で見ると、ウチの畳の色もずいぶんやけたものですなあ、そろそろ……。

そういうふうに古いものや文化をダサイといって捨ててきた「湘南文化」のようなえーかっこし文化から、畳やタタミイワシの今日的危機的状況が生まれたともいえるわけだが。

それにしても、かつては赤提灯の安いつまみだったタタミイワシは、すっかり高級品になって、やはり貧乏人はインドネシアの貧乏人の手になるタタミイワシを食べることになるのでしょうか。

イワシそのものが、日本近海での漁獲量が激減している。だからといって、よその国の沿岸でとりまくるのも、「乱獲の輸出」みたいのもので、すでにさんざんやってきたことなのだが。

タタミイワシのお勉強をしましょう。参考リンク
「水産雑学コラム」


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