君は知るや、埼玉うどんの偉人


「うどんは地域を代表する食べ物なんですよ。このあたりはよく麦が穫れるんです。昔は米は納めてしまうから、麦が主食でね。農家では『朝まんじゅうに昼うどん』といった、どこでも家でうどんを打っていたものです。埼玉県の食文化なんですよ」

と、これは拙著『ぶっかけめしの悦楽』に引用させてもらったのだが、浦和市の榎本豊二さんというかたのお言葉だ。1999年2月当時の浦和市生活文化部女性政策・国際課が編集・発行の『一緒にろーど』にのっていた。

えらいなあ。だいたいね、「白飯崇拝」風潮が続いていたなかでは、麦やうどんをくっているなんて、貧乏臭くて恥かしくって隠そうとする傾向すらありましたからね。このように堂々とした主張は、ほんとうにすばらしい。しかも、榎本さんは、子供たちに手打ちうどんの伝統を伝えようと「手打ちうどん教室」をひらいているのです。そういうわけで、このかたは、まちがいなく「埼玉うどんの偉人」です。


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