関東うどんそば紀行
熊谷駅[秩父そば]の巻
(2002年5月6日記)

秩父そばJR熊谷駅の駅ビル一階の<秩父そば>はうまいということで、土産で売っているものを買って来たやつがいる。

この者は子供のころからうどんそばが日常食で育ったから、味覚には問題なさそうだが、観察と説明がヘタで、話を聞いただけでは正確に店の状態を把握しきれないところがあるが、とにかくそのへんのオヤジとオバサンが自分の家でつくって売るような感じでやっているというのだ。

そういわれると、たしかに、秩父の奥には、自分の家の庭先でそのようにやっているうどんそば屋があるから、そういうものかと思うのだが、それにしても駅ビルの店だから、もっと商売らしくやっているだろうと言うと、いやそうじゃない、と言う。

オバサンなんかひとと口をきくのも恥ずかしそうな農家のひとという感じだし、そこで食べるときは注文すると奥でごそごそやって、しばらく待たされてから食べる、ちょっと客が続くとすぐつかえる、この土産だって、どこにも何にも店の表示がない、ツユだって一つひとつ手で入れているみたいだ、とにかく、あのへんのひとが自分の家でつくっていたのを売り始めたに違いない、味だってそういう味だ、と強弁する。

なるほど、見れば、袋に、なぜかローマ字で「CHICHIBUSOBA」の表示あるだけだ。そして、そばはともかく、うどんは色つやから味や歯ごたえまで、秩父の山奥のオヤジが力を入れてこねてつくったうどんとそっくり。腰があるなんてもんじゃない硬くて、歯ごたえ腹ごたえがガツンとくる。

これは、ツルツルプルプルと「のどごし」で食べるより、しっかり齧って粉まで味わいつくし食べつくすうどんなのだ。そのへんの「都会的な讃岐うどん」のようなものとは一味ちがう。

まさしく「秩父」を名乗るにふさわしい。うめえ。気に入った。また買って来てくれ。
1パック2人前、450円。土産で食べても十分うまい。


関東うどんそば紀行

ザ大衆食