吉田謙太郎さんのスペシャルレポート

一点張


今日の昼は日吉の「一点張」というサッポロラーメン屋。とりたてて美味い訳ではないが、ついついいってしまう。小柄で声だけ威勢の良いびっこの爺と白髪ポニーテールのどらえもん親爺のやり取りが見てるだけで実に愉しい。

二人はあうんの呼吸で役割分担は明確。びっこの親爺が「へい!らっしゃい!」。親爺が麺を茹でる間にポニーテール親父はモヤシを茹でる。びっこちゃんがスープを丼にいれ麺を入れるとポニーちゃんがスススっと、寄ってきては、モヤシをパサッと入れ、隠し味の粉末スープにメンマに海苔をポロリ。びっこちゃんはチャーシュをハラリと載せ、ネギをパサッと入れる。何度見てもこの順番もタイミングも同じで、静寂が走る。

麺屋やってるなぁとか、がんばっているなぁとか感じられない。ひょうひょうと無駄なくリズミカル。笑顔もない会話もない目もあわせない。この二人の会話は一度だって聞いたことがない。ズズズと麺をすすりながら俺は、こいつらいい仕事しているなぁと毎度思う。二人の麺屋の歴史まで想像をめぐらせる。二人の表情は、つまらなそうでもなく、必死そうでもなく、楽しそうでもなく、何も考えていない顔とはこの表情なり。

これからの仕事はこうでなくちゃいかん。イケイケドンドン、ガツガツイテマエ時代はもう終わった、効率よく、しめやかにユラリと良い物を作らねばならん。600円払うと、「毎度どうも」とポニーちゃんが静かに礼という。

ところで一点張のお勧めメニュー。「チャーシュご飯」300円だ。小ぶりの丼にサイの目となった厚手のチャーシュがごろごろ横たわり、その上から、秘伝のタレがドロリ。輪切りわけぎとネギみじん切りがドカンと暴れている。好きなだけ紅生姜をのっけてガブリッ!うまい!お近くにお寄りの際は、一度ご賞味アレ!

(2002年7月1日記、7月2日掲載)

エンテツ注=[一点張]は横浜市港北区日吉本町1−2−6、東急東横線日吉駅慶応大と反対側、浜銀通りを数十メートルみずほ銀行の手前角を左に入る。駅から1、2分。日吉では古い有名店。

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